Trash-b

今生きていることのもどかしさ

村上春樹の「風の歌を聴け」の中で、
主人公とその友達・鼠が本について話をするところがある。
本をまったく読まないという鼠に、なぜ本を読むのか尋ねられる。
主人公は、その質問をずらすように、死んだ人間の書いたものだから、と答える。
それから、死んだ人間に対しては大抵のことが許せる、と結ぶ。

日々いろいろと漫画や本や音楽など、
誰かの作った物を手に入れては楽しんでいる僕だが、
作者が生きていると、何かと面倒なこともある。
まずは新しい作品に出会えること。
リアルタイムで新作を受け取れるのは喜びでもあるが、同時に不安もある。
理解出来なかったとき、どうするのか?
その点、死者は新しい作品を作らない。未発表作品は新作ではない。
作者が完成と認めてない場合が多し、どっちにしても作者の一般的な評価が変わることは無い。
新しい作品を巡って、同好の友人とケンカすることも無いのだ。

後は作者の人間性が好きになれないとき、作品の受け取り方も変わってくる。
人によっては売り払う人もいる。
やはり死者なら、どんなに破綻していても「もう死んでるし。」という寛容さを持ちやすい。

「太宰治かぁ。あのひと女と心中するような男だからなぁ。」
ってあんまり思わない。
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by trash-b | 2009-05-14 23:50 | 趣味