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Trash-b

重いで

「昔住んでいて、今身内の誰も住んでいない場所に行くのは怖いよ。」
と僕が言うと、妻は「なんで?」と返してきた。
懐かしいと思うことはあっても、怖い、というのは分からないという。
懐かしさは、ある。
同時に怖い。もうそこには自分の場所が無い。もうそこには誰か知らない人が住んでいる。いっそのこと更地になって何も無かったら、あの頃を夢のように回想するのかもしれない。そのほうが幸せかもしれない。
いやそれでも怖いかもしれないなぁ。
「わからない。」
妻は言った。
いろんなものが懐かしいじゃない。
大抵のものは自分と関係ないものになって続いているだけだし、
なんてことないでしょ。

その話はしばらく経って忘れ、別の話になってしまった。

住宅街を歩いている時のこと。
「こないだの話、ほら、昔の場所が怖いっていう。分かりそうな気がする。
昔、よく出入りしていた親戚の家が、引っ越して取り壊されたのね。
私はその家の雰囲気が好きで、いろんなものを覚えている。今でもそこに行ったらあるような気さえしている。
でももう無いの。無いところを見たことも無い。
それは私にとって寂しさをこえて怖さになるのかもしれない。」
と妻が話した。

思い出は大事な記憶だが、時間を吸い込んで重くなるのかもしれない。
重すぎる思い出は時々、苦しいのかもしれないな、と思った。
by trash-b | 2009-04-27 23:50 | 日常